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ゲーム企画書の作り方|未経験からでも書けるプロのフレームワーク|元コナミ・プランナー監修

ゲーム企画書の作り方|未経験からでも書けるプロのフレームワーク|元コナミ・プランナー監修

監修:藤井厚志(元KONAMI/著書『プロフェッショナルゲームプランナー』)

はじめに

「企画書を書いてみたいけど、何から手をつければいいのかわからない」

ゲームプランナーを目指す人が、ポートフォリオの準備で最初につまずくのがこの壁です。「ゲームのアイデアはある。でも、それをどうやって企画書にすればいいのか」——その先に進めずに止まっている人が、驚くほど多くいます。

実は、企画書が書けない理由のほとんどは、書き方を知らないことではなく、考え方の順番が逆になっていることから来ています。「何を作るか(WHAT)」から考え始めてしまうため、「なぜ作るのか(WHY)」が答えられない企画書になってしまうのです。

本記事では、元コナミのゲームプランナー・藤井厚志(著書『プロフェッショナルゲームプランナー』)の監修のもと、未経験からでも書けるゲーム企画書の作り方を体系的に解説します。

読み終えるころには、こんなことがわかるはずです。

  • ゲーム企画書の本質と、採用担当者が見ているもの
  • 「ゴールデンサークル」を使ったWHYからの考え方
  • プロが使う5枚企画書の構成と各シートの書き方
  • ワクワクする企画書にするための3つの法則
  • 未経験者が実際に企画書を書く5つのステップ
  • 採用で落とされる企画書の失敗パターン

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ゲーム企画書とは何か——プロが定義する「羅針盤」の役割

企画書は「作るためのドキュメント」ではなく「羅針盤」

ゲーム企画書とは何か。「ゲームのアイデアをまとめたもの」——そう思っている方が多いですが、これは半分正解で、半分ズレています。

藤井厚志は著書の中でゲーム企画書をこう定義しています。

監修者・藤井厚志からひとこと

企画書は、目的・企画概要・ゲームサイクル・マネタイズ・制作体制・スケジュールをまとめたもので、ゲームを開発する上での「羅針盤(=コンパス)」の役割となります。

「羅針盤」という表現がポイントです。企画書は、単に「何を作るか」を書くものではありません。「なぜ作るのか」「いつまでに作るのか」「どんな仕組みで面白くなるのか」——開発全体の方向性を定めるものです。

企画書のデキが開発全体に与える影響は絶大です。企画書が曖昧だと、開発が進むほど「これってどういう仕様だっけ?」「ゲームの方向性はどっちだっけ?」という迷いが頻発します。「何のために作るのか」が明らかでない現場は、必ず崩壊します。

また、企画書は自分だけが見るものではありません。社長や経営層、開発チーム全員、外注先のスタッフ——多くの人が目にするものです。「伝わる」ことが最優先であり、見た目の体裁だけでなく、内容が非常に重要なのです。

採用担当者が企画書で見ているもの

ポートフォリオとして提出する企画書の場合、採用担当者が見ているのは「ゲームへの愛」ではありません。

採用担当者が確認したいのは、次の2点です。

  • 「言語化できる人か」——ゲームの面白さを論理的に説明できるか
  • 「現場で使える人か」——企画を仕様に落とし込む思考の筋道があるか

どれだけゲームが好きでも、「面白そうだと思って」「なんとなくこういうゲームが作りたい」という企画書は、プランナーとしての適性を示せません。「なぜこのゲームが面白いのか」「なぜこの仕組みが必要なのか」を言葉にできる人——それが採用担当者の探している人物像です。

監修者・藤井厚志からひとこと

採用で企画書を見るとき、私がまず確認するのは「なぜこのゲームを作る必要があるのか」です。ゲームへの熱量はもちろん大切ですが、それ以上に「この人はゲームをどう見ているのか」を見ています。

面白いアイデアを思いついたとき、多くの人はすぐにゲームの仕様を考え始めます。でも、プランナーとして本当に重要なのは「なぜそのゲームが世の中に必要なのか」を最初に問うことです。その問いへの答えが企画書の核になる——ここを理解しているかどうかで、企画書の説得力は大きく変わります。


書く前に——「ゴールデンサークル」でWHYから考える

WHY・HOW・WHATのゴールデンサークルのイメージ図

多くの人が陥る「WHAT先行」の罠

ゲーム企画書を書こうとするとき、多くの人が最初にやってしまうのが「WHAT(何を作るか)」から考えることです。

「RPGを作りたい」「パズルゲームを作りたい」「オープンワールドのゲームを作りたい」——これらはすべてWHATです。何を作るかは決まっていても、「なぜそれを作るのか」が答えられない状態です。

WHAT先行の企画書は、採用担当者に「なぜこれを作るの?」と聞かれたとき、「ゲームが好きだから」「こんなゲームが遊びたかったから」という感想で終わってしまいます。これでは、現場で使えるプランナーの思考には見えません。

ゴールデンサークル——WHY→HOW→WHATの順で考える

企画を考えるとき、著書で藤井が紹介しているのがゴールデンサークル理論です。アントレプレナーのサイモン・シネックが提唱したこの理論は、WHY(なぜ)→HOW(どうやって)→WHAT(何を)の順番で考えることを提唱しています。

  • WHY(なぜ):目的。解決したい「不満・不便・不安」。これがすべての出発点
  • HOW(どうやって):方針。自分たちの強みで「不」に応じる方法
  • WHAT(何を):手段。具体的なゲームの内容

WHYから考えると、HOWとWHATは後から何度でも修正が効きます。逆に、WHATから決めてしまうとWHYが曖昧になり、「で、なんでこのゲームが必要なの?」に答えられなくなります。

重要なのは、方針(HOW)の角度が手段(WHAT)の範囲を決定づけるということです。方針が広すぎると手段の選択肢が無限になり、企画フェーズの時間が際限なく消費されます。WHYから導き出したHOWを少し絞り込むだけで、考えるべきWHATが一気に具体的になります。

「不」の解消——企画コンセプトの核をつかむ

ゴールデンサークルのWHYを見つけるための考え方が、著書でくり返し登場する「不」の解消です。

ビジネス(ゲーム)の本質は、誰かが抱えている「不満・不便・不安」を解消することです。企画コンセプトを固めるには、次の3点を整理します。

①「不」の存在を提示して規模を図る

どんな「不」があるかを明確にし、それがどれくらいの規模の問題かを示します。最低でも身の回りの20人以上に「こんな不満を感じませんか?」とヒアリングするだけで、仮説の根拠になります。

②「不」がこれまで解決されなかった理由を考える

「アイデア・お金・技術・人」のどれが足りなかったから解決されなかったのかを分析します。すでに同じ「不」に挑戦している作品がある場合は「なぜその作品では解決できていないのか」を挙げることで、自分たちの企画の差別化ポイントが見えてきます。

③「不」の解決策がコンセプトになる

「なぜ自分たちなら解決できるのか」「解決したことで叶えられる未来」を提示します。「不」の提示から解決したときのビジョンまでが一本の筋で通っていれば、それが揺るぎないコンセプトになります。

監修者・藤井厚志からひとこと

「なぜなぜ分析」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。問題が起きたとき「なぜ?」を5回繰り返して根本原因を探る手法です。これは企画を作るときにも使えます。

「こんなゲームを作りたい」と思ったとき、「なぜそれを作りたいのか?」「なぜそれが必要なのか?」「なぜ今それが存在しないのか?」と問い続けてみてください。最初は漠然としていた「作りたいもの」が、問うたびに輪郭がはっきりしていきます。WHYを5回問う習慣が、ゲームの企画力を育てます。


5枚企画書とペライチ企画書——「イチゴの法則」で2種類作る

イチゴの法則——5枚版とペライチ版の2種類を用意する

企画書の枚数は、少なければ少ないほど良いとされます。情報が整理されていない企画書は枚数が膨らむからです。逆に言えば、少ない枚数で伝えられる企画書は、それだけ企画が練れていることの証明です。

著書で藤井が紹介している「イチゴの法則」は、企画書を2種類用意することを推奨しています。

  • 5枚企画書(詳細版):チームや関係者・採用担当者に通すための企画書
  • ペライチ企画書(簡易版):忙しい社長やプロデューサーが1枚で理解できる企画書

2種類あることで、相手に合わせた使い分けができます。転職活動においては、ポートフォリオとして両方を用意しておくと「企画を要約する力がある人」という印象を与えられます。

5枚企画書——各シートの役割と書き方

1枚目:企画の目的・コンセプト(最重要)

企画書で最も重要なシートです。ゴールデンサークルで整理したWHY(不の解消)をここに凝縮します。目的やコンセプトは一度決めたら変えるものではないため、この1枚目に最も時間をかけてください。「この世に必要な企画である」という根拠を、短い言葉で力強く示すことが目標です。

2枚目:ゲーム概要・ゲーム画面

ゲームの内容をビジュアルで伝えるシートです。ゲーム概要はできれば1行、最大でも2行でまとめます。キャッチコピーが作れれば、それだけで聞く人に強く刺さります。サンプル画面は実装レベルのものでなくて構いません。「どんな画面でプレイするのか」がイメージできれば十分です。

3枚目:ゲームサイクル

ゲームがどのように回るかを図解するシートです。メインとなる遊びとサブの遊びがどう連動し、プレイヤーが遊び続けられる仕組みになっているかを示します。課金要素があるゲームの場合は、マネタイズポイントも記載しておくと企画の完成度が上がります。

4枚目:モチベーションフロー

「なぜプレイヤーが遊び続けるのか」を言語化して図解するシートです。「なんとなく面白そう」を超えて、「こんな面白さがここで発生して、次々に遊んでみたくなる仕組みです」と明示できるレベルが目標です。このシートを作れるかどうかが、企画書の完成度を大きく左右します。

5枚目:スケジュール・制作体制

「いつからいつまでに作るか」を宣言するシートです。開発期間が分かれば予算規模も推察でき、企画の現実性が伝わります。5人以上の制作体制になるなら、各セクションの人員配置も記載しましょう。

ペライチ企画書——1枚で伝えきる3段構成

ペライチ企画書は、5枚企画書が完成してから作るのが鉄則です。いきなりペライチから始めると、情報を絞り切れず中途半端なものになってしまいます。

記載するのは次の3点だけです。

  • 目的・コンセプト:1〜2行で。インパクトのあるキャッチコピーがあれば最強
  • ゲーム概要・ゲーム画面:コアのゲームプレイが分かるメイン画面を1〜3枚
  • スケジュール:開発期間とリリース時期の2点

この3点だけで「どんなコンセプトで、どんなゲームを、いつまでに作るのか」が1枚で伝わります。採用面接でポートフォリオを見せる際、これが「顔」になります。

監修者・藤井厚志からひとこと

転職活動で企画書を持ってきた方と面接をするとき、私はまずペライチを見ます。1枚見ただけで「このゲームが面白そうかどうか」「この人がゲームを分かっているかどうか」がほぼ分かります。

ペライチに書ける情報は限られています。だからこそ、何を書くかの取捨選択が重要です。「これだけは絶対に伝えたい」という情報を1枚に絞り込む作業が、企画力そのものを鍛えます。5枚版を書いた後にペライチを作る、という順番を必ず守ってください。


ワクワクする企画書を作る3つの法則

企画書を見た面接官がワクワクしている場面のイラスト

「ルールはわかった。では、どうすれば見た人の心が動く企画書になるのか」——ここからが本題です。企画書の体裁が整っているのに「刺さらない」企画書には、共通の原因があります。

法則①「8:2の法則」——理解と興味のバランス

著書で藤井が語るワクワクの条件は、「わかった!(理解)」と「どうなるの?(興味)」の比率が8:2であることです。

人間は、完全に未知のものに対して「面白そう」とは感じません。ある程度知っているもの(既存のゲームや仕組み)を土台に、そこに「今まで見たことがない何か」が1〜2点加わったとき、初めてワクワクが生まれます。

既存ジャンルの面白さを土台にしながら、自分ならではの1〜2点の強みを加える——これが企画書で「伝わる面白さ」を作るコツです。

法則②「1センテンス&1イメージ」——箇条書きを捨てる

採用担当者に送られてきた企画書の中で、箇条書きだらけのものをよく見かけます。しかし、箇条書きはメモに過ぎません。企画書には使わない、というのが著書での一貫したメッセージです。

理由は明確です。箇条書きで情報が並んでいるだけでは、ゲームが面白くなるかどうかが見えないのです。代わりに目指すのは「短くインパクトのある言葉」と「内容と感動を与えるビジュアル」の組み合わせです。目安は「10m離れて見てもわかる文字と情報量」。そのスライドで一番伝えたいことが1行で言えて、それを補強する1枚の画像がある——この組み合わせが、見る人の脳内でゲームを「遊ばせる」企画書になります。

法則③「コアの面白さだけで勝負する」——細かい仕様は書かない

企画書に細かいゲームシステムの説明を詰め込みたくなる気持ちは分かります。しかし、その行動が逆効果になります。

「コアの遊びとは何か」——モンハンなら「狩り」、DQなら「冒険」、パズドラなら「パズル」。このゲームの根源的な面白さを1行で宣言できるかどうか、それが企画書で最初に問われることです。

細かい仕様は、聞かれたときに答えられるQ&Aとして別途準備しておけば十分です。企画書本体には、コアの面白さだけを凝縮して書きましょう。

監修者・藤井厚志からひとこと

企画書で「ゲーム雑誌の特集記事」を目指すと良い、という話を著書でもしています。ゲーム雑誌の記事を読んで「遊んでみたい!」と思った経験は誰でもあるはずです。そのワクワク感を、企画書で作れるかどうかです。

読んだ人が「このゲームは一言で言えば何なのか」「どこがワクワクするのか」「どんな体験を味わえるのか」を短時間で掴める企画書——それを目指すだけで、企画書の質は一段階上がります。見た目のデザインが多少粗くても、キラーワードひとつで人の心を掴める企画書は作れます。

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はじめての企画書——未経験者が実際に書く5つのステップ

「法則はわかった。では実際にどう進めればいいのか」——ここからは、未経験からはじめて企画書を書く具体的な5つのステップを紹介します。

ステップ①:ゲームをプランナー視点で分析する

企画書を書く前の必須準備が、ゲームを「プランナーとして遊ぶ」練習です。

「なぜこのゲームは面白いのか」「コアの遊びは何か」「どんなモチベーションで遊び続けるのか」——こうした問いを持ちながらゲームを遊んでみてください。好きなゲームを1本選んで、ゴールデンサークルで分析するのもおすすめです。「このゲームのWHYは何か?」「どんな不を解消しているのか?」を言語化できると、自分が企画書を書くときのロールモデルになります。

ステップ②:「不」を見つける

分析の習慣がついてきたら、次は自分の企画の「不」を見つけます。

今遊んでいるゲームで「ここが惜しい」「こういう要素があったら絶対もっと面白い」と感じる部分を書き出してみてください。また、社会人経験がある方は、その経験から見える「不」も強い武器になります。マーケターなら「このゲームはユーザー層への伝え方が弱い」、エンジニアなら「この仕様は実装コストが見えていない設計だ」——そうした視点で見つかる「不」は、他の志望者にはない独自性を企画書に与えます。

ステップ③:ゴールデンサークルで企画の骨格を作る

「不」が見つかったら、WHY→HOW→WHATを1枚の紙に書き出します。これを1時間以内でやってみてください。

  • WHY:見つけた「不」と、それを解消したときの未来
  • HOW:自分の強み・経験を活かした解決の方針
  • WHAT:具体的なゲームの内容(ジャンル・プラットフォーム・コアの遊び)

この段階でWHYが言葉にならないなら、まだ企画の核がありません。もう一度「不」に立ち戻りましょう。WHYが言葉になったとき、企画書を書く準備が整います。

ステップ④:5枚企画書を書く

骨格が固まったら、5枚企画書の執筆に入ります。ここで重要な心構えがあります。

著書で藤井は「60%の完成度のものを出す」という考え方を紹介しています。企画書を書くとき、完璧を目指して手が止まってしまうことはよくあります。しかし、まず形にして人に見せることで、一人では気づけなかった問題が浮かび上がります。コンセプトの軸だけ揺るがないようにして、あとはアウトラインレベルで書き進めましょう。

ステップ⑤:ペライチに落として「顔」を作る

5枚が完成したら、最後にペライチへと凝縮します。5枚の内容を「目的・コンセプト」「ゲーム概要・画面」「スケジュール」の3段構成で1枚に収める作業は、企画の本質だけを取り出す作業です。

採用面接でポートフォリオとして提出する際、このペライチが面接官が最初に見る「顔」になります。1枚を見た瞬間に「このゲームが面白そう」と思ってもらえれば、その後の面接は自然とうまくいきます。

監修者・藤井厚志からひとこと

企画はインプットの量に比例します。「面白いゲームを作りたい」と思うなら、まず面白いゲームを大量に遊ぶことです。ただし、ただ遊ぶだけでは足りません。「なぜこのゲームは面白いのか」を常に言語化しながら遊ぶ——この習慣が、企画書のアイデア力と説得力を育てます。

私が現場で企画を出し続けてきた裏には、とにかく多くのゲームを遊んで、分析して、「面白さの引き出し」を増やしてきたことがあります。未経験者がプロと同じ土俵に立てる部分があるとすれば、ここだと思っています。


よくある失敗パターン3つと直し方

企画書を前にして悩む人のイラスト

どれだけ丁寧に作っても、「考え方のズレ」があると採用担当者の心に届きません。ここでは採用で落とされる企画書に共通する3つのパターンを紹介します。

失敗①「ユーザー設定が曖昧」

「誰でも楽しめるゲーム」と書かれた企画書は、採用担当者の心に届きません。「誰でも楽しめる」は「誰のためのゲームかが決まっていない」と同じ意味だからです。

ターゲットが曖昧だと、ゲームデザインのあらゆる部分が中途半端になります。難易度は?プレイ時間は?UI設計は?これらすべてが「誰向けか」によって決まります。

直し方:最低限、次の情報を企画書に入れてください。

  • 年齢層(10代後半?30代?)
  • プレイ時間帯(通勤時間?週末?)
  • プレイ環境(スマホ?PC?テレビ?)
  • 既存タイトルからの流入(あつ森ユーザー?APEXユーザー?)

ターゲットを絞れば絞るほど、ゲームデザインは具体的になります。明確なターゲットがいる企画の方が、現場では圧倒的に評価されます。

失敗②「斬新すぎる企画書」

「今までにない、まったく新しいゲーム」を打ち出した企画書は、一見クリエイティブに見えます。しかし、ベテランのプランナーほど「危ない」と感じるパターンです。理由は3つあります。

  • 本当に「今までにない」ゲームはほとんど存在しない
  • 仮に本当に新しければ、ユーザーが理解できない可能性が高い
  • ビジネスとして成立する保証がない

直し方:既存ジャンルのコアの遊びを理解した上で、そこに自分の「不」の解決策を1〜2点加えるアプローチが現実解です。「ゼロから新しいものを作る」ではなく「既存の何かを土台に、自分ならではの強みを足す」——この発想への切り替えが、採用に通る企画書への近道です。

失敗③「もっともらしさがない」

ゲーム内の論理が破綻している企画書も、よく見かけます。「主人公が突然空を飛べるようになる」「敵が理由なく主人公を襲ってくる」——世界観の「なぜ?」が成立していない状態です。

著書で藤井は「日常から非日常を生み出す」という考え方を紹介しています。プレイヤーが没入できるゲームは、日常的に納得できる前提から、少しずつ非日常へと展開していく構造を持っています。

直し方:企画書を書いたら、次の問いを全シートに投げかけてください。

  • なぜ主人公はその能力を持っているのか
  • なぜ敵は主人公を攻撃するのか
  • なぜ舞台はその場所なのか

監修者・藤井厚志からひとこと

多くの企画書を見てきた経験から言うと、落とされる企画書の99%はこの3つのどれかに当てはまります。「ユーザーが誰か分からない」「新しすぎて伝わらない」「世界観の論理が破綻している」——逆に言えば、この3つを避けるだけで上位20%には入れます。

派手なアイデアより、当たり前のことを当たり前に押さえている企画書——それが採用担当者が探している人物像です。奇抜さではなく、確かな思考の筋道を見せてください。


よくある質問(FAQ)

Q1. 企画書は何枚で作ればいい?

まず5枚版を作り、そこからペライチに落とす、という手順が基本です。転職活動では両方を用意しておくのが理想です。ただし「5枚に収まらないほど企画が複雑」な場合は、企画自体の整理が足りていないサインかもしれません。まず5枚に収めることを目標にしてください。

Q2. デザインスキルがなくてもゲーム画面のサンプルは作れる?

作れます。FigmaやPowerPoint、Google スライドで十分です。既存のゲームのUIを参考にしたラフスケッチでもOKです。大切なのは「どんな画面でプレイするのかがイメージできること」であり、グラフィックの完成度ではありません。

Q3. 既存ゲームを元にした企画書でもいい?

むしろ推奨します。「このゲームのここを自分ならこう変える」という企画書は、対象ゲームへの深い分析力とプランナー思考を同時に示せます。システムや仕組みの参考として使う分には問題ありません。

Q4. 企画書と仕様書はどう違う?

企画書は「何を・なぜ・いつまでに作るか」を定める羅針盤です。仕様書は「どうやって作るか」をデザイナーやプログラマーに伝える実装指示書です。企画書でコンセプトを固めてから、仕様書で詳細を詰めるのが正しい順序です。

👉 ゲームプランナーのための仕様書の書き方

Q5. 企画書1本でポートフォリオになる?

企画書1本でもポートフォリオとして提出できますが、企画書+仕様書のセットで1つの作品として提出すると完成度が大きく上がります。企画書で「何を・なぜ作るか」を示し、仕様書で「どう実装するか」を示すことで、「企画から実装まで考えられる人」という印象を与えられます。

👉 ゲームプランナーのポートフォリオの作り方|未経験者向け(近日公開予定)


まとめ:ゲーム企画書を書くことは「プランナーとして考える練習」

本記事の要点を3つにまとめます。

  1. WHY(なぜ作るのか)から考える。ゴールデンサークルで「不」を解消するコンセプトを先に固める。WHAT(何を作るか)から考え始めると、採用担当者の「なぜ?」に答えられない企画書になる
  2. 5枚版→ペライチの順で作る。情報を絞り込む作業そのものが企画力を鍛える。コアの面白さだけを1行で言い切れるかどうかが、企画書の完成度を決める
  3. 「当たり前のこと」を押さえる。ユーザー設定を明確に・斬新すぎない・もっともらしさを持つ。この3つを避けるだけで、多くの企画書より頭ひとつ抜けられる

監修者・藤井厚志からひとこと

企画書を1本書き切った人と、「いつか書こう」と考えているだけの人の差は、時間が経つにつれて開いていくばかりです。書いてみて初めて分かる「言語化の難しさ」と「面白さ」があります。

完成度は問いません。まず1本書いてみてください。書いた企画書を誰かに見せてフィードバックをもらうことで、2本目は格段に良くなります。企画書を書く回数が、プランナーとしての思考力を育てます。

「書き始める勇気」が、ゲームプランナーへの最初の一歩です。

「企画書作ってみたけど、これで良いのかな…?」「自分の企画書を一度、プロの目で見てもらいたい」

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監修者プロフィール

藤井厚志

監修者プロフィール

藤井厚志(ふじい あつし)

元KONAMIプランナー。30代未経験からゲーム業界に転職し、コナミにて家庭用ゲーム機・スマホゲームの企画・開発・運営に従事。著書『プロフェッショナルゲームプランナー』では、現場で培った「面白くて売れるゲームを作る仕組み」を体系化している。現在は株式会社つよくてニューゲーム代表として、ゲームプランナー専門校GPCの監修を務める。

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