はじめに
「ゲームプランナーになりたい」——そう思った瞬間、多くの人が同じ場所で立ち止まります。
「自分はそんなに斬新なアイデアが浮かばない。向いていないかもしれない」
「企画書って、何を書けばいいのかわからない」
「社会人になってからじゃ、もう手遅れなんじゃないか」
実は、これらの悩みはすべて同じひとつの誤解から生まれています。それは「ゲームプランナーの仕事は、面白い企画を考えることだ」という思い込みです。
この誤解を抱えたまま業界に飛び込んだ人の多くが、最初の3ヶ月で挫折します。逆に、プランナーの本当の仕事を理解した人は、たとえ社会人未経験からのスタートでも、最短ルートで現場に立てるようになります。
本記事は、元コナミのゲームプランナー・藤井厚志(著書『プロフェッショナルゲームプランナー』)の監修のもと、未経験・社会人からゲームプランナーを目指す人に向けた現実的なロードマップをまとめています。
読み終えるころには、こんなことがわかっているはずです。
- ゲームプランナーが本当にやっている仕事
- 自分が向いているかどうかの見極め方
- 社会人・未経験から目指す5つのルート
- 30代でも間に合うのか
- リアルな年収とキャリアパス
それでは始めましょう。

ゲームプランナーとは何をする人か
「企画を考える人」ではない
ゲームプランナー志望者が、いちばん最初にぶつかる誤解があります。
「プランナーって、ゲームの企画を考える人ですよね?」
半分は正解ですが、半分は致命的にズレています。なぜなら、企画を考えるのはプランナーの仕事のごく一部にすぎないからです。
藤井厚志は著書『プロフェッショナルゲームプランナー』のなかで、プランナーの仕事をこう定義しています。
プランナーの仕事は「デザイン・プログラム・サウンド以外のすべての仕事をこなす人」
つまり「企画を考える人」ではなく、「面白いゲームが完成するために必要な仕事を、何でもやる人」です。
企画書を書く、仕様書を書く、スケジュールを引く、開発を進める、デバッグする、リリースする、運営する——その間に発生するありとあらゆる調整事を、プランナーがすべて引き受けます。
そして重要なのは、「企画だけを考える仕事」は、ゲーム開発の現場にはひとつも存在しないということ。「自分はアイデアを出すのは得意だから、プランナーなら活躍できるはず」という発想は、現場の実態とかなりズレています。
作る力 × 売る力を兼ね備えた人物
では、優れたゲームプランナーとはどんな人なのでしょうか。藤井氏は本書で、こう整理しています。
「面白いゲームが作れる人」ではなく「面白くて売れるゲームを作る仕組みがわかっている人」
ここでのキーワードは、「仕組み」です。
センスや情熱だけで「これが面白いんだ!」とゲームを作れた時代は、開発費の高騰と大人数開発の常態化ですでに終了しました。今のゲーム業界が求めているのは、運良く面白いゲームを作れる人ではなく、何度でも面白いゲームを作れる再現性のある人です。
その再現性は、「作る力」と「売る力」のふたつの輪で成り立っています。
作る力
- 面白いゲームを作る力(企画・アイデア・ゲームデザイン・水平思考)
- ゲームを作り上げる力(仕様化・コミュニケーション・進捗管理・デバッグ)
売る力
- 売れるゲームを作る力(ビジネス設計・マーケティング・マネタイズ・コスト意識)
- ゲームを売り続ける力(KPI設計・分析・運営施策・改善施策)
「アイデアが出せる」だけでは、現代のゲームプランナーとして半人前です。作って、届けて、稼ぎ続ける——ここまで含めてプランナーの仕事です。
ゲームプランナーの主な8つの仕事
現場でプランナーが受け持つ業務を整理すると、おおむね次の8つに集約されます。
| 業務 | 内容 |
|---|---|
| ① 企画 | ゲームのコンセプト・方針・ビジネスモデルを設計する |
| ② アイデア出し | 遊びの核(コアの遊び)や特徴的な要素を生み出す |
| ③ 仕様作成 | デザイナー・プログラマーが作業できる粒度まで書き起こす |
| ④ シナリオ | ストーリー・キャラクター・セリフを設計する |
| ⑤ データ作成 | キャラ・武器・敵などのパラメータを組む |
| ⑥ バランス調整 | 難易度・経済・成長カーブを整える |
| ⑦ 運営 | リリース後のイベント施策・改善施策を回す |
| ⑧ 分析 | KPIを読み、次の施策に活かす |
これら全部を1人でこなす現場はほぼなく、実際には分担されます。ただし、全部を理解しているプランナーほど現場で重宝されるのは間違いありません。「企画しかできない人」と「企画も仕様も運営も分析もわかる人」では、任せられる仕事の幅も、評価も、給料も、大きく変わってきます。
監修者・藤井厚志からひとこと
プランナーになりたての頃、私はずっと「面白さは自分(=プランナー)が作るもの」だと思っていました。プランナーが面白さの責任を持つ役割であると。でも何年も現場でやってきて気づいたのは——面白さはチームの集合力から生まれるということです。
プランナーの企画、デザイナーのビジュアル、プログラマーの実装、サウンドの音。これらが集まってゲームが完成したときにユーザーは初めて「面白い」と感じる。だからプランナーの本当の仕事は、面白さそのものを作ることじゃなくて、集合力が最大化する環境をデザインすることです。この感覚に切り替えられた瞬間から、仕事が一気に回り始めました。
ここまでで、ゲームプランナーの輪郭はつかめたでしょうか。次の章では、プランナーが1本のゲームに対して具体的にどんな流れで動いているのかを、開発フェーズごとに見ていきます。
ゲームプランナーの仕事の流れ(1本のゲームができるまで)
「何でもやる」と言われても、まだピンと来ないかもしれません。ここでは、1本のゲームを世に出すまでに、プランナーがどう動いているのかを具体的に見ていきましょう。
ゲーム開発は、ざっくり8つのフェーズで進みます。
| フェーズ | プランナーの主な仕事 |
|---|---|
| ① 企画フェーズ | ゲームのコンセプト・ビジネスモデルを設計する。「なぜこのゲームを作るのか」を言語化する |
| ② 仕様概要フェーズ | 開発全体の方向性を1〜数枚にまとめ、関係者の認識を揃える |
| ③ 見積もり・スケジュールフェーズ | 必要な工数・人員・期間を見積もり、現実的な計画に落とす |
| ④ 仕様詳細フェーズ | デザイナー・プログラマーが作業できる粒度まで仕様書を作る |
| ⑤ 開発フェーズ | 仕様の確認・調整・進捗管理を毎日回し、ゲームを完成に近づける |
| ⑥ デバッグフェーズ | バグ出し・遊びにくさの修正・バランス調整を集中的に行う |
| ⑦ リリースフェーズ | プラットフォーム審査・宣伝物の最終確認・発売準備を整える |
| ⑧ 運営フェーズ | リリース後のKPIを読み、イベントや改善施策で売上を伸ばす |
ここで注目してほしいのは、「企画」が全体の8分の1のフェーズにすぎないということです。多くの志望者が「企画を考えるのがプランナーの仕事」とイメージしていますが、実際は仕様作成・開発進行・デバッグ・運営にかかる時間のほうがはるかに長いのが現場の現実です。
そしてもうひとつ、重要なポイントがあります。プランナーは、自分ひとりではゲームを完成させられないということ。
ゲームを実際に動くものにするのは、デザイナーであり、プログラマーであり、サウンドクリエイターです。プランナーは彼らに「何を作ってほしいのか」を正確に伝え、彼らが作業しやすい環境を整え、進捗を管理する立場です。
つまりプランナーに最も求められるのは——人を動かす力です。
監修者・藤井厚志からひとこと
駆け出しの頃、私は「プランナーはゲームを作る人」だと思っていました。でも実際には、自分の手では何ひとつ完成させられない。仕様書をいくら書き上げても、それ自体がゲームになるわけじゃない。ゲームを完成させてくれるのはデザイナーであり、プログラマーであり、サウンドの人たちです。
プランナーがやるのは、彼らが最高のパフォーマンスを発揮できる状態を作ること。指示を出す人というより、現場を整える人。この感覚に切り替えられた瞬間から、現場でのキャリアが一気に開けます。
社会人経験のある方なら、この説明を読んでピンと来たかもしれません。プランナーの仕事は、プロジェクトマネージャーやプロダクトマネージャーの業務とかなり近いのです。
実際、異業種からゲームプランナーへの転職で評価されるスキルは、ゲームの知識そのものよりも、プロジェクト推進力・コミュニケーション設計力であることが少なくありません。このルートについては、後ほど詳しく扱います。
あなたはゲームプランナーに向いている?タイプ別の見極め方
「自分はプランナーに向いているだろうか」——これは志望者のほぼ全員がぶつかる悩みです。
結論から言うと、ゲームプランナーには「向き不向き」よりも「タイプの違い」がある、というのが藤井氏の本書での主張です。「アイデアが浮かばないから向いていない」「内向的だから向いていない」と早合点する必要はありません。
ゲームプランナーの3原則
藤井氏は、どんなタイプのプランナーにも共通して必要な土台として、次の3つを挙げています。
- アイデア:新しい遊びの種を探し、関連知識をインプットし続ける姿勢
- 作業:仕様書を書く、データを整える、地道な業務を確実にこなす力
- 行動:周囲を巻き込んで動かす実行力、自分から仕掛けていく行動力
「アイデアが浮かばない」と悩む人は、ほかの2つの軸で自分がどう評価されるかに気づいていないだけ、というケースが少なくありません。

現場で活躍するプランナーの3タイプ
その上で、藤井氏は現場で活躍するゲームプランナーを大きく3つのタイプに分類しています。
トリガー型(火をつける人)
新しい企画やコンセプトの初動を作るのが得意。「これ、やりませんか?」とプロジェクトに火種を投げ込み、議論を巻き起こすタイプ。プロジェクトの立ち上げ期にもっとも活躍します。
ドロワー型(形にする人)
抽象的なアイデアを具体的な仕様書・ゲームデザインに落とし込むのが得意。「こうしましょう」と図と数字で示せるタイプ。プロジェクトの構築期で力を発揮します。
ドライバー型(完遂させる人)
スケジュール管理・進行管理・調整役を担い、ゲームを最後まで走り切らせるのが得意。「絶対に間に合わせる」を仕事にするタイプ。プロジェクトの着地期に欠かせない存在です。
どのタイプが偉い、どのタイプが向いている、ということはありません。重要なのは、自分が今どのタイプに近いかを知り、そのタイプを伸ばしながら、足りない部分を補う動き方を覚えることです。
監修者・藤井厚志からひとこと
「アイデアが浮かばないからプランナーに向いていない」と悩む人を、これまでたくさん見てきました。でも管理する立場として何人ものプランナーを見てきた経験から言えるのは——現場で重宝されているのは「形にできる人」「完遂できる人」のほうが圧倒的に多いということです。
派手なアイデアマンより、地味でも約束を守る人。これが現場のリアルです。だから「自分はクリエイターっぽくないから無理」「すごいアイデアなんか思いつかない」と決めつける前に、自分のタイプを確かめてみてほしいと思います。
まずは自分のタイプを知ろう
自分が今どのタイプに近いかは、簡単な質問に答えるだけで把握できます。GPCでは無料のプランナータイプ診断を公開しているので、ぜひ試してみてください。
診断結果が出たら、その結果を踏まえて次の章「ゲームプランナーになる5つのルート」を読み進めてみてください。あなたのタイプに合った最短ルートが見えてくるはずです。
ゲームプランナーになる5つのルート
「自分のタイプは見えてきた。じゃあ実際、どうやってゲームプランナーになるのか?」
ここからが本題です。ゲームプランナーになるルートは大きく分けて5つあります。それぞれにメリット・デメリットがあり、年齢・職歴・経済状況によって最適なルートは異なります。順番に見ていきましょう。
ルート① 新卒採用で大手・中堅ゲーム会社へ入る
学生・既卒の方が最初に検討するルート。
特徴
- 大手(スクウェア・エニックス、コナミ、バンダイナムコ、セガなど)が毎年新卒採用枠を出している
- 中堅・スマホゲーム会社も同様
- 文系・理系問わず4年制大学卒の採用が中心
現状
かつてはゲーム専門学校卒が主流でしたが、近年は大卒採用の比重が高くなっています。開発規模の拡大やビジネス面の複雑化に伴い、「文章を書く力」「人と調整する力」「数字を読む力」など、現場で横断的に使えるスキルがより重視されるようになってきたためです。
最初の数ヶ月の現実
新卒入社して最初に任される仕事は、いきなり「新作の企画」ではなく、ガチャバナーの構成、データ入力、テキスト校正といった地味な作業が中心です。ここで腐らず、与えられた仕事を確実にこなせるかが、現場で評価される最初の関門です。
向いている人:在学中の大学生/既卒3年以内で第二新卒として動ける人
ルート② 専門学校・スクールからの就職
ゲーム専門学校に通って卒業後に就職するルート。
メリット:ゲーム業界とのコネクション、合同採用イベント、在学中のチーム制作経験
デメリット:学費が2年で200〜400万円、社会人は基本通えない(昼間制中心)、就職率は学校による差が大きい
向いている人:高校卒業時点でゲーム業界を志望していて、4年制大学に進む余裕がない人
ルート③ 社会人・未経験からの転職 ← 本記事の主読者
異業種で働きながらゲームプランナーへの転職を目指すルート。社会人読者の本命です。
結論から言うと、未経験からのプランナー転職は可能です。ただし戦略が必要です。
どんな企業が未経験を採用するのか
- スマホゲーム運営会社(中堅〜中小):継続的に人材が必要
- ソーシャルゲーム会社:運営プランナー枠で未経験採用あり
- 受託開発会社:プロジェクト単位で人を増やす必要がある
逆に、大手CSタイトル開発会社の新規プロジェクト枠に未経験から直接入るのは、現実的ではありません。
評価されるスキル(実は社会人の方が有利)
- プロジェクト推進力(PM経験・PdM経験)
- 数字を読む力(営業・マーケ・分析・経理経験)
- 文章を書く力(編集・広報・営業資料作成経験)
- コミュニケーション設計力(営業・カスタマーサポート経験)
重要なのは、ゲームの知識そのものよりも、社会人として培ってきた「仕事を進める力」のほうが現場では評価されるということ。新卒で入った人より、社会人経験を経て入った人のほうが早く一人前になるケースも珍しくありません。
最初のポジション
最初から「企画担当」で採用されることは稀です。多くの場合、運営プランナー(イベント施策・データ調整・KPI分析)としてスタートし、現場の動きを覚えてから企画側へ移っていくのが現実的なステップです。
ルート④ 隣接職種からのジョブチェンジ
ゲーム業界にまず別の職種で入って、社内でプランナーへ異動するルート。
よくあるジョブチェンジ経路
- QA・デバッガー → プランナー
- カスタマーサポート → 運営プランナー
- アシスタント職 → プランナー
- 受託デザイナー・プログラマー → 自社プランナー
メリット:業界に入るハードルが低い/内側から仕様書・ワークフロー・現場の流れを学べる/プランナーは慢性的に不足している現場が多く異動希望が通りやすい
デメリット:異動までに1〜3年かかることが多い/そのまま元の職種に固定されるリスクもゼロではない
「とにかくゲーム業界に入ってから考えたい」という方には現実的なルートです。
ルート⑤ インディー個人開発からの実績アピール
働きながら、または学生のあいだに、自分で1本ゲームを作って公開するルート。
- Unity / Unreal Engine / ティラノスクリプト等で個人制作
- itch.io / Steam / App Store / Google Play で公開
- ゲームジャム参加実績
完成させた1本のゲームは、どんな企画書よりも強い名刺になります。 採用担当者から見て「自分で考え、自分で形にし、自分でリリースまで持っていける人」というのは、それだけで他の候補者と差別化できます。
注意点:「途中まで作った」「未公開」では評価対象になりません。最後まで完成させて公開する——これが最低条件です。
監修者・藤井厚志からひとこと
採用された人のなかで最も印象が強かったのは、自分で1本のゲームを完成させて、配信プラットフォームで公開してきた人でした。
正直なところ、出来はプロのレベルではなかったし、売上もほとんど立っていませんでした。でも「企画から仕様、開発、リリースまで一人でやり切った」という事実が、何枚の企画書よりも雄弁にその人の実力を語っていました。完成させる力——これがプランナーに求められるすべての本質です。
補足:30代からでも遅くないのか?
ここまで読んで「自分は社会人だけど、30代だから無理かも」と思った方へ。
結論から言うと、30代でも未経験からゲームプランナーになることは可能です。ただし20代と同じ動き方では難しいのも事実。30代には30代の戦い方があります。
藤井氏は本書で「10,000時間の法則」を紹介しています。人がひとつの分野で一流になるには約10,000時間(毎日6時間で約5年)の継続が必要というもの。これを聞いて「じゃあ30代で始めたら40代までかかる」と諦める必要はありません。なぜなら:
- ゲームプランナーの仕事の大半は社会人スキルの応用であり、20代より30代のほうが完成度が高い
- プロジェクト推進力・数字を読む力・コミュニケーション設計力は業界をまたいで通用するスキル
- 30代の落ち着き・俯瞰力・調整力は、現場で重宝される
監修者・藤井厚志からひとこと
実は私自身、ゲームプランナーになったのは30代になってからでした。前職はゲーム業界とはまったく別の業界・職種。当然、ゲームプランナーとしては完全未経験のスタートです。今この記事を読んでくれている方と同じように、「もう遅いのではないか」という不安を抱えながらの転職でした。
むしろ、「自分なんかにゲームが作れるだろうか?」という気持ちでしたね。
結論から言うと、全く遅くありませんでした。30代で培った社会人としての基本動作——人と仕事を進める力、文章で物事を整理する力、数字で現実を把握する力——これらはどの業界でも通用するし、ゲームの現場でも例外なく評価されます。
「30代から始めて、本当にやれるのか?」と不安に思っている方へ。
私のように30代から同じようにゲーム業界に飛び込んで活躍している人を、現場で何人も見てきました。年齢よりも、踏み出すかどうかの方がずっと大きな分岐点です。
つまり「30代未経験から転職してプランナーとして活躍している」という話は、決して特殊なケースではないということです。詳しい戦い方や、30代特有のキャリア設計については別記事で扱っています。
👉 30代からゲームプランナーへ転職|現実とロードマップ(近日公開予定)
未経験から始めるなら、まず何をすべきか
「5つのルートは分かった。じゃあ今日から何をすればいいのか?」
ここでは、未経験から目指す人がまずやるべき5つのステップを、優先順に紹介します。
ステップ① 新旧・多ジャンルのゲームに大量に触れる
最初に取り組んでほしいのが、ゲームを体験として大量に蓄積することです。
「ゲーム好きならもうやってる」と思うかもしれませんが、ポイントは自分の好みから外れたジャンル・時代のゲームも遊ぶこと。
- 新旧両方:最新作だけでなく、ファミコン〜PS2時代の名作も。古いゲームには「シンプルな面白さの原型」が詰まっている
- 多ジャンル:FPS、RPG、パズル、シミュレーション、対戦格闘、ノベル、ローグライク——食わず嫌いをなくす
- ボードゲーム:紙とコマとルールだけで成立する「ゲームデザインの純粋形」を学べる
藤井氏は本書で「ゲームを知っているだけで強みになる」と書いています。ゲーム知識の幅と深さは、企画段階で「これはあのゲームのあの仕組みが応用できる」と引き出せるかどうかに直結します。
ステップ② 企画書を「自分のフォーマット」で1本書く
次に、ゲームの企画書を1本書いてみてください。テーマは何でも構いません。
藤井氏が本書で推奨しているのは、ゴールデンサークルで組み立てる方法です。
- WHY(なぜ作るのか):解決したい不満、満たしたい欲求、伝えたい体験
- HOW(どうやって解決するのか):コアの遊び、ゲームシステム、特徴的な要素
- WHAT(具体的に何を作るのか):ジャンル、プラットフォーム、ゲーム画面、主要機能
多くの初心者は WHAT から書き始めてしまい、「で、なぜこのゲームを作るの?」に答えられません。WHY から書く——これだけで企画書の説得力が桁違いに上がります。
ステップ③ 既存ゲームの仕様書を1本書き起こしてみる
企画書が書けるようになったら、次は仕様書です。
ただし、いきなりオリジナルゲームの仕様書は難しいので、既存のゲームの一部機能を仕様書化する練習がおすすめです。
例:
- 「マリオの1-1の仕様書」を書く
- 「ポケモンのバトル画面の仕様書」を書く
- 「あつ森の魚釣りの仕様書」を書く
UI遷移、状態管理、パラメータの種類、例外処理——一度書いてみると、自分が「このゲームの仕組みをほとんど見ていなかった」ことに気づきます。この気づきこそが、プランナーの第一歩です。
ステップ④ ポートフォリオを準備する
社会人・未経験から転職する場合、ポートフォリオが選考の合否を分けるといっても過言ではありません。
最低限揃えたいもの:
- 自分で書いた企画書(1〜3本)
- 既存ゲームの仕様書(1本)
- 好きなゲームの分析記事(1本)
- もし作っているなら、個人開発のゲーム
ポートフォリオの作り方は奥が深いので、別記事で詳しく扱っています。
👉 ゲームプランナーのポートフォリオの作り方|未経験者向け(近日公開予定)
ステップ⑤ 資格は基本的に不要
「ゲームプランナーになるには資格が必要ですか?」とよく聞かれます。
結論:不要です。
ゲームプランナーに国家資格や民間資格はなく、現場でも資格の有無は問われません。代わりに見られるのは:ポートフォリオ/言語化能力/ゲームに対する理解の深さ/社会人としての基礎力。
資格取得に時間をかけるより、企画書を1本書くほうが100倍効果があります。詳しくは別記事で。
👉 ゲームプランナーに資格は必要?元コナミプランナーが解説(近日公開予定)
採用担当が落とす志望者の3つのNG例
ここからは、採用面接で実際に落ちる志望者のパターンを3つ紹介します。藤井氏が本書のなかで、新人プランナーや入社希望者の企画書を見てきた経験からまとめている内容です。
これは「やってはいけない例」として明確に押さえておく価値があります。逆に言えば、ここを避けるだけで他の志望者から頭ひとつ抜けられます。
NG例① ユーザー設定の不足
「誰のためのゲームか」が曖昧な企画書です。
「これは、ゲーム好きな人なら誰でも楽しめるゲームです」
このように書いてある企画書は、ほぼ100%採用担当者の心に届きません。「誰でも楽しめる」=「誰のためでもない」と読まれるからです。
改善ポイント
- 年齢層(10代後半?30代?)
- 性別(特定なし?特定あり?)
- プレイ時間帯(通勤時間?週末?)
- プレイ環境(スマホ?PC?テレビ?)
- 既存タイトルからの流入(あつ森ユーザー?APEXユーザー?)
ターゲットを絞ると、ゲームデザインが具体的になります。逆に、絞れていないということは、自分でも何を作るかが見えていないということです。
NG例② 斬新すぎる
「今までにない、まったく新しいゲーム」を打ち出す企画書。
一見クリエイティブで魅力的に見えますが、ベテランほど「危ない」と感じるパターンです。理由は:
- そもそも本当に「今までにない」ゲームは、稀
- 仮に本当に新しいなら、ユーザーが理解できない可能性が高い
- ビジネスとして成立する保証がない
ゲームの企画は、既存ジャンルの「コアの遊び」を理解した上で、そこに新しい体験を1〜2点加えるくらいが現実的な落とし所です。「ゼロから新しいものを作る」ではなく、「既存の何かを土台に、自分なりの強みを足す」発想を持ちましょう。
NG例③ もっともらしさがない
ゲーム世界の「説得力」が欠けている企画書。
たとえば「主人公が突然空を飛べるようになる」「敵が理由なく襲ってくる」など、ゲーム内のロジックが破綻している企画。
藤井氏は本書で「日常から非日常を生み出す」という考え方を紹介しています。プレイヤーが没入できるゲームは、日常的に納得できる前提から、少しずつ非日常へ展開していく構造を持っています。「もっともらしさ」がないと、プレイヤーは世界観に入れず、すぐに飽きてしまいます。
改善ポイント
- なぜ主人公はその能力を持っているのか
- なぜ敵は襲ってくるのか
- なぜ舞台はその場所なのか
「なぜ」の連鎖が成立する世界を作ることが、もっともらしさの正体です。
監修者・藤井厚志からひとこと
採用希望で送られてきた企画書のなかで、印象的だったダメ例の99%は、この3つのどれかに当てはまるものでした。
逆に言えば、この3つを避けるだけで、志望者の上位20%には入れます。派手なアイデアより、当たり前のことを当たり前に押さえている人——これこそ採用担当者が探している人物像です。
ゲームプランナーの年収・キャリアパス
「ゲームプランナーって、実際どれくらい稼げるのか?」「将来的にどんなキャリアが描けるのか?」——転職を考える上で避けて通れない問いです。ここでは、年収レンジ・給料の構成・キャリアパスを、藤井氏の本書を参考に整理します。
ゲームプランナーの年収レンジ
役職・経験年数ごとの年収目安は次の通りです。
| 役職・経験年数 | 年収レンジ |
|---|---|
| ルーキー(1〜3年目) | 350〜500万円 |
| 中堅(3〜8年目) | 500〜700万円 |
| ベテラン(8年〜) | 700〜1,000万円 |
| ディレクター | 700〜1,200万円 |
| プロデューサー | 800〜1,500万円 |
これは大手・中堅・スマホゲーム会社の中央値で、スタートアップやインディー、外資系では大きく異なります。
藤井氏は本書で、「700万円が稼ぐゲームプランナーのボーダーライン」と定義しています。なぜ700万円なのか——ベース給料だけで生活が安定し、家族を持っても無理がない水準、というのが根拠のひとつです。逆に言うと、700万円に到達できれば、ゲームプランナーは十分に「稼げる職業」と言えるということです。
給料の3つの構成要素
ゲームプランナーの給料は、次の3つで構成されます。
- ベース給料:月給×12 + ボーナス。安定収入の柱
- インセンティブ:ヒットタイトルが出たときの分配金。ゲーム業界の「夢」
- その他:副業、講演、書籍印税、コンサル契約など
「ゲーム業界はインセンティブで一発逆転できる」というイメージがありますが、藤井氏の本書では、ベース給料を着実に上げることが先決、というのが結論です。インセンティブは結果論であって、狙って取れるものではないからです。
キャリアパスの3分岐
スタッフからスタートして、5〜10年後にキャリアの分岐点に立ちます。
- スタッフ:プランナーとしてプロジェクトに参加する基本ポジション
↓
- マネジメント:ディレクター/プロデューサー/プロジェクトマネージャー へ
- スペシャリスト:一線のプランナーとして極める道
各役職の違いはこうです。
- ディレクター:プロジェクトの責任者。「面白さの最終決定権」を持つ。ゲーム作りそのものの監督者
- プロデューサー:ヒト・モノ・カネのエキスパート。事業判断の責任者。プロジェクトの「経営者」
- プロジェクトマネージャー(PM):開発進行の調整役。あらゆる業務の繋ぎ手
キャリアを考える上で「全員がマネジメントを目指す必要はない」ということ。「企画・仕様の現場で極める」スペシャリスト道も、選択肢として検討することができます。
監修者・藤井厚志からひとこと
「いつかディレクターやプロデューサーになりたい」——プランナーを目指す方からよく聞く言葉です。それは立派な目標です。しかし、プランナーとして第一線で活躍し続けるスペシャリストの道も、同じく現場にとって必要不可欠な役割です。
「自分は何をしているときに一番充実するか」を基準にキャリアを選んでみてください。これが、変化の早いゲーム業界で長く生き残るコツです。
ゲームプランナーになるための学び方の選択肢
「未経験から準備を始めよう」と決めたとき、選べる学び方は大きく3つあります。それぞれのメリット・デメリットを公平に整理した上で、自分にとっての最短ルートは何かを考えてみましょう。
選択肢① 独学
書籍・YouTube・無料記事を駆使して自力で学ぶ方法。
- メリット:費用ほぼゼロ、自分のペースで進められる
- デメリット:フィードバックを得られない、挫折率が高い、業界との接点ができない
- 向いている人:意志の強い人、すでに業界に知人がいる人
選択肢② 専門学校
2〜4年の昼間制で通学する方法。
- メリット:同志の仲間ができる、就職活動サポート、施設・設備を使える
- デメリット:学費が200〜400万円、社会人は基本通えない、就職率は学校による差が大きい
- 向いている人:高校卒業時点で進路選択中の人
選択肢③ オンラインスクール
インターネット経由で学べる短期集中型のスクール。
- メリット:社会人と両立可能、費用は専門学校の1/5〜1/3、現役プロから直接学べる
- デメリット:スクールごとの質のバラつきが大きい、信頼できる監修者で選ぶ必要がある
- 向いている人:社会人・既卒で短期で実務スキルを身につけたい人
3つの選択肢の比較
| 独学 | 専門学校 | オンラインスクール | |
|---|---|---|---|
| 費用 | ¥0〜数万円 | 200〜400万円 | 30〜80万円 |
| 期間 | 自由 | 2〜4年 | 2〜6ヶ月 |
| 社会人継続 | ◯ | ✕ | ◯ |
| フィードバック | ✕ | ◯ | ◯ |
| 業界コネクション | ✕ | ◯ | △〜◯ |
| 実務スキル | △ | ◯ | ◎ |
| 監修者の質 | ー | 学校による | 監修者次第 |
GPC(ゲームプランナーズクラブ)という選択肢
GPCは、元コナミの藤井厚志(本記事の監修者)が監修するゲームプランナー専門のオンラインスクールです。
- 元コナミ・藤井厚志監修(30代未経験から現場に立った当事者の知見)
- オンライン完結(社会人継続可能)
- 最短2ヶ月で現場レベルの企画書・仕様書を書けるところまで
- 少人数制・個別サポート
「どんな学習をすればいいのか、わからない」「自分にとっての最短ルートを知りたい」という方は、まずは無料の個別診断で相談してみてください。あなたの現在地・目標・限りある時間を踏まえて、最短ルートを一緒に設計します。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 未経験から本当にゲームプランナーへ転職できますか?
可能です。特に運営プランナー枠は未経験採用に門戸が開かれており、スマホゲーム会社・ソーシャルゲーム会社・受託開発会社などが継続的に募集しています。ただし、ポートフォリオ・ルート選び・継続的なゲーム研究の3点セットは必須です。
Q2. 30代からでも間に合いますか?
間に合います。本記事の監修者である藤井厚志自身が、30代未経験からの転職組です。30代の社会人スキル(プロジェクト推進力・調整力・数字を読む力)は、むしろ20代以上の武器になります。
Q3. プログラミングができないとダメですか?
できなくても問題ありません。プランナーは自分でコードを書く立場ではないからです。ただし、プログラマーと会話できる程度の理解は必要です。「この機能はどういう仕組みで動くのか」を仕様書に落とせるレベル=技術用語が通じるレベル、で十分です。
Q4. 英語は必要ですか?
国内向けタイトル中心の会社では不要です。グローバルタイトル志望、外資系志望なら推奨。読める程度(資料・ドキュメントを理解できる)があれば、面接段階で大きな差にはなりません。
Q5. 副業から始められますか?
完全な副業の形でプランナー職に就くのは現実的ではありません。ただし、インディー個人開発を副業として始めて、実績を作ってから本業転職するステップは有効です。Steamやスマホストアでの公開実績は、ポートフォリオの中で最も強い武器になります。
Q6. 専門学校とオンラインスクール、どちらがいいですか?
判断軸は「今の年齢」と「社会人継続の必要性」です。
- 高校卒業時点なら専門学校
- すでに社会人なら専門オンラインスクール
どちらにせよ、監修者の実績でスクールを選ぶことを推奨します。
Q7. 文系と理系、どちらが有利ですか?
どちらでも問題ありません。プランナーには「文章を書く力」「数字を読む力」が両方求められるため、どちらの背景でも活かせます。むしろ採用担当が見ているのは、「自分の専門領域とゲームを結びつけられる人」かどうかです。マーケ出身ならゲームのKPI、理系出身ならゲームバランス、文学出身ならシナリオ——自分の強みとゲームを接続して見せられる人が評価されます。

まとめ:ゲームプランナーになるために、今日からやれること
本記事の要点を3つにまとめます。
- ゲームプランナーは「企画を考える人」ではない。「面白くて売れるゲームを作る仕組みがわかっている人」。作る力と売る力の両輪が求められる
- 社会人・未経験・30代でも、現実的なルートは存在する。藤井厚志自身が30代未経験からの転職組。社会人スキルはむしろ武器になる
- 最短距離は「監修者で選ぶ」+ 今日から行動を始めること。資格より、企画書を1本書くほうが100倍効果がある
監修者・藤井厚志からひとこと
「ゲームプランナーになりたい」と思った瞬間が、あなたのキャリアにとってのスタート地点です。年齢や経歴は、想像しているほど大きな問題ではありません。
私が現場で見てきた、未経験から活躍するようになった人たちに共通していたのは、ひとつだけ。「今日、最初の一歩を踏み出した」ということです。完璧な準備が整うのを待つ必要はありません。企画書を1本書いてみる、好きなゲームの仕様書を起こしてみる、診断を受けてみる——どこからでも構いません。
あなたが今日、最初の一歩を踏み出すなら、私たちが伴走します。
次のステップ
迷ったらまず、ゲームプランナーになるための行動をしましょう!
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監修者プロフィール
藤井厚志(ふじい あつし)
元KONAMIプランナー。30代未経験からゲーム業界に転職し、コナミにて家庭用ゲーム機・スマホゲームの企画・開発・運営に従事。著書『プロフェッショナルゲームプランナー』では、現場で培った「面白くて売れるゲームを作る仕組み」を体系化している。現在は株式会社つよくてニューゲーム代表として、ゲームプランナー専門校GPCの監修を務める。