監修:藤井厚志(元KONAMI/著書『プロフェッショナルゲームプランナー』)
はじめに
大学からゲーム業界を目指そうと思って「ゲーム業界 就活」で検索すると、「きつい」「難しい」「内定率」といった言葉が並びます。
ゲーム業界を目指しているのに、調べれば調べるほど不安になる。そんな経験はありませんか?
実は、多くの人が感じている「難しさ」の正体は、競争率そのものではありません。動き出す時期と、準備しておくものが、ほかの業界と違うだけです。そこを知らないまま3月を迎えると、すっかり遅れをとることになるかもしれません。
このコラムでは、元KONAMIのゲームプランナー・藤井厚志(著書『プロフェッショナルゲームプランナー』)の監修のもと、以下のことをまとめています。
- ✅ ゲーム業界の就活が「難しく感じる」本当の理由
- ✅ 文系・理系それぞれの強み
- ✅ 自作ゲームと企画書、どちらを優先すべきか
- ✅ 「本質を射抜く」企画とは何か
- ✅ 学年別・いま何をすべきか
大学1年生から、就活がうまくいかなかった4年生まで。それぞれの立場で読めるように書いています。
ゲーム業界の新卒就活は、本当に難しいのか

「ゲーム業界 就活」で検索すると、「きつい」「内定率」「難しい」といった言葉が並びます。不安になるのも無理はありません。
ただ、順番に整理していくと、多くの人が感じている「難しさ」の実態は、競争率そのものではないことが見えてきます。
公式のスケジュールと、実際の動き
まず、政府が示している就活の日程ルールを見てみましょう。2028年3月に卒業予定の人(今の大学3年生)の場合、こうなっています。
- 広報活動の開始:3年生の3月1日以降
- 採用選考活動の開始:4年生の6月1日以降
- 正式な内定日:4年生の10月1日以降
就活スケジュールの建前と実態
| 3年 春 |
3年 夏 |
3年 秋冬 |
3年 3月 |
4年 4〜5月 |
4年 6月 |
4年 10月 |
|
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ルール (政府) |
— | — | — | 広報解禁 3/1 |
— | 選考解禁 6/1 |
正式内定 10/1 |
| 実際の 動き |
情報収集 | サマー インターン |
秋冬インターン 早期選考 |
約4割が 内定 |
約7割が 内々定 |
約9割が 内々定 |
— |
| ゲームプランナー (早期ルート:インターン経由) |
インターン 募集開始 |
企画課題・ ワークショップ型 インターン |
早期選考 → 内定が出始める |
早期ルートの 内定が出揃う |
— | — | — |
| ゲームプランナー (本選考ルート) |
情報収集・ 企画の種集め |
インターン参加 | 企画書を 完成させる |
エントリー・ 企画書の提出 |
企画書をもとに した面接 |
内々定 | 正式内定 |
政府のルールは法的な拘束力を持つものではなく、あくまで要請です。実際の選考は、この日程より前から動いています。
つまり建前では、3年生の3月に情報解禁、4年生の6月から選考開始、10月に内定となっています。
ところが、実態はまったく違います。しかもこれは、政府自身が認めていることです。
就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議がまとめた資料には、4年生の4月までに学生の約9割が採用面接を受け、約7割が内々定を得ている、と書かれています。6月までには約9割が内々定を得ている、とも。
選考解禁は6月1日のはずなのに、その2か月前には7割が内々定を持っている。ルールが実態に追いついていないのです。
企業側の数字も同じ方向を示しています。広報活動を2月以前に始めた企業は約6割、採用選考を5月以前に始めた企業は約7割にのぼります。
学生側も同じです。エントリーシートを初めて出した時期を見ると、3年生の9月以前がすでに約4割。広報解禁の3月に初めて出した人は、約1割しかいません。3年生の夏から秋のうちに、4割が動き出しているのです。
内定率も見てみましょう。3年生の3月1日時点の内定率(内々定を含む)は、2027年卒の調査で就職みらい研究所が38.1%、マイナビが46.0%。調査によって差はありますが、広報解禁の時点で、すでに4割前後の人が内定を持っていることになります。
「難しい」の正体は、時間軸のズレ
これらの数字が意味するのは単純です。3月から動き始める前提で情報を集めていると、周りはもう終盤にいる。
就活の一般的な記事は、3月スタートを前提に書かれているものが多い。それを読んで準備した人が3月に動き始めると、すでに大きな差がついています。この「気づいたら遅れていた」という感覚が、「就職は難しい」という印象の原因になっていることが少なくありません。
難易度が高いというより、スタートラインの位置を勘違いしやすい構造なのです。
クリエイター職は、さらにその先を行く
ゲームプランナーのようなクリエイター職の場合、この傾向はもっと強く出ます。理由は3つあります。
インターンが入口になっている
インターン参加者への早期選考が、水面下で動きます。インターンの募集自体が3年生の春から始まるため、そこに参加できるかどうかが大きな分岐になります。
インターンの中身が、そのまま選考になる
プランナー職のインターンでは、企画を書いてプロに見てもらうワークショップ形式がよくあります。学ぶ場であると同時に、見られる場でもある。ここで何を書けるかが、その後の流れを左右します。
ポートフォリオや企画書が書類段階で必要
一般職なら、エントリーシートと履歴書で書類選考が進みます。クリエイター職は、その段階で作品を見られます。つまり、エントリーする時点で見せられるものがないと土俵に乗れない。これが準備期間の差になります。
だから、結論はこうなります
ゲーム業界の新卒就活は、才能のある人だけが通る狭き門ではありません。ただ、動き出す時期と、準備しておくものが、ほかの業界と違う。
そして準備するものとは、自分が何を面白いと思い、それをどう形にできるかを示せるものです。
次の章から、その中身を具体的に見ていきます。
監修者・藤井からひとこと
就活が早期化しているという話は、企業側から見ると当たり前のことなんです。いい人材は早く確保したい。だからルールより前に動く。
しかも、その動きは今や公式に認められています。インターンシップは長いあいだ「教育のためのもの」とされ、そこで知った学生の情報を採用に使うことは認められていませんでした。それが2022年にルールが変わり、2025年卒からは、一定の条件を満たすインターンであれば、その情報を選考に使ってよいことになりました。インターンは今や、ほぼ選考の入口なんです。
学生だけが「3月スタート」という建前を信じて準備していると、不利になってしまいます。まず、就活スケジュールの実態から知りましょう。それだけで対策が打てるようになります。
文系でもゲームプランナーになれるのか
スケジュールが分かっても、「そもそも自分に向いているのか」が気になる人は多いはずです。とくに多いのが、文系だから不利ではないか、という不安です。
結論から言うと、なれます。むしろ、プランナーは文系出身のほうが多い職種です。
学部が問われないのは、プログラマーやデザイナーのように前提となる技術がないからです。ただ、「学部が関係ない」で終わると大事なことを見落とします。文系にも理系にも、持ち込める強みがあります。
文系の強み=言葉にする力
プランナーの仕事は、ほとんどが言葉でできています。企画書も仕様書も言葉ですし、プログラマーやデザイナーに意図を伝えるのも言葉です。面白さは目に見えないので、言葉にしない限り、誰にも渡せません。
だからまず必要なのは、「これは面白い」「これをやりたい」を自分の言葉で言えることです。ゆくゆくは、なぜ面白いのかを理屈で分析して説明する力も要りますが、出発点はここです。
文章を読み込んできた、人の気持ちを考えてきた、社会の仕組みを調べてきた。文系の学びは、だいたいこの「見えないものを言葉にする」訓練です。それはそのままプランナーの仕事になります。
理系の強み=論理と数字
一方、理系から来る人には別の武器があります。論理的に考える力と、数学的にものを捉える力です。
ゲームは変数や係数の塊です。難易度のバランス、経験値の伸び方、確率の設計。数学の知識は、そのまま応用できます。大学で物理や工学を学んでいれば、直接活かせる場面は多い。
ゲームを作った経験がなくても大丈夫
もうひとつ、学部とは別の不安があると思います。「ゲームを作ったことがない」という不安です。
実際、入社までゲームを作った経験が一度もないクリエイターもいます。代わりに演劇に打ち込んでいたり、音楽や動画を作っていたり。そうした学生時代の経験が評価されてゲーム会社に入った人はたくさんいます。
なぜかというと、その経験の中で「何かを面白いと感じ、それを形にして、人に届けた」ことを自分の言葉でアピールできているからです。ゲームかどうかは本質ではありません。
「関係ない」のではなく、接続の仕方を知らないだけ
面接で「なぜ文系からゲーム業界を?」と聞かれたとき、「ゲームが好きだからです」だけでは弱い。経験から学んできたことと、ゲームを作りたい理由がつながっていれば、それが答えになります。
何学部かどうかというよりも、学んできたことをどう活かせる人なのかが見られています。
多くの人が「大学で学んだことはゲームと関係ない」と思っていますが、関係ないのではなく、つなげ方を知らないだけです。そのつなげ方は、この後の章で説明します。
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自作ゲームと企画書、どちらを優先すべきか

就活の情報を集めていると、いろいろな意見に振り回されることでしょう。「企画書を作り込め」という人もいれば、「企画書より自作ゲームだ」という人もいる。さて、どちらが正しいのでしょうか。
結論から言うと、この問い自体がズレているんです。
では、そもそも何を見られているのか
企画書も、自分で作ったゲームも、見られているものは同じなんです。
- 見抜く力:何が面白いのかを見抜けるか
- 形にする力:その面白さをゲームの形にできるか
- 組み立てる力:全体を組み立てられるか
- 伝える力:それを人に分かりやすく伝えられるか
プランナーに必要なのはこの4つで、企画書はそれを一本のゲームを通して見せるための手段にすぎません。言ってしまうと、手段は必ずしも企画書でなくてもいいんです。自作ゲームでも、ゲーム以外に作ったものでも、ポートフォリオでも構いません。
手段が変わっても、見られているものは変わらない。このことを知っておくと、自信を持って準備に取り掛かれます。
新卒採用はポテンシャル採用です。完成された技術ではなく、これから伸びる素養があるかを見られています。だからこそ、自分のポテンシャルの芯が何なのかを、自分で認識できている必要があります。
「作っただけ」では評価されない理由
ゲームを作った、という事実そのものだけでは評価になりません。
グループ制作なら、なおさらです。「チームで1本作りました」と言われても、あなたが何をした人なのかが分からない。どんな役割で、何に悩み、どう判断して、どこに貢献したのか。それが語れなければ、せっかくの制作経験が作品集で終わってしまいます。
先ほどの4つの力で言えば、作っただけの状態は「形にする力」の一部しか見せられていません。見抜く力も、組み立てる力も、伝える力も、語られて初めて伝わるものだからです。
書類選考で問われるのは「読んで伝わるか」
選考に進むための最初のハードルは書類選考です。ここを通らなければ、面接には行けません。
そして書類は、読み手が一人で読んで理解するものです。あなたが隣で説明することはできません。
企画書は、もともとこの「読んで伝える」ために作られたものです。だから書類選考と相性がいい。
では作ったゲームは不利なのかというと、そうではありません。ゲームそのものを書類の形にまとめればいいのです。どんな狙いで作り、どう設計し、遊んだ人がどう反応したか。これを資料にすれば、企画書と同じように読んで伝わります。この章の後半で説明する「頭ひとつ抜ける実績の作り方」は、まさにそのための手順です。
逆に言えば、どれだけ良いゲームを作っても、それを読んで伝わる形にできなければ、書類で止まります。
つまり、企画書か自作ゲームかではなく、選んだものを読み手に伝わる形にできているか。書類で問われるのはそこです。
「本質を射抜く」とは何か

ゲーム企画における本質とは、「結局このゲーム、何が面白いの?」に答えられているか、です。
設定や仕様をいくら盛っても、それはデコレーションです。飾りを増やすほど、かえって本質が見えなくなる。
たとえば、こんな順番で考えます。
- 共感できる感覚から始める「掃除って面倒だけど、終わって綺麗になったら気持ちいいよね」。これは多くの人が分かる感覚です。快感、爽快感の原点になる部分。ここがコアになります。
- その感覚をゲームの形にする「掃除した分だけ強くなる。掃除パワーでアクションバトル。超爽快!」。掃除の気持ちよさが、そのまま戦闘の爽快さに変換されています。これがコア体験です。
- コア体験が引き立つように仕掛けを組むここで初めてゲームデザインの出番です。どうすればこの爽快さが最大になるか、を考えて仕掛けを足していく。あくまでコア体験をより楽しくするための道具です。
- 名前とコピーで束ねる掃除の「clean」と、アクションの「clean hit」をかけて、タイトルは『クリーンヒット』とする。キャッチコピーは「ごちゃごちゃ惑星で、はちゃめちゃお掃除バトル!」
読んだ人が10秒で「ああ、こういう面白さで勝負するゲームか」と分かる。この筋が一本通っているかどうかが、本質を射抜けているかどうかです。
ここで大事なのは、「全員に面白いと思ってもらえるか」とは別の話だということです。
面白さの好みは人によって違います。掃除バトルに惹かれない人もいるでしょう。でも惹かれない人にも、「このゲームは掃除の爽快感で勝負するんだな」ということが伝わるかどうかが非常に重要です。
好きか嫌いかで割れるのは構いません。問題は、何が面白いゲームなのかが伝わらない企画書です。それだと読み手は、好きか嫌いかを判断する手前で止まってしまいます。
監修者・藤井からひとこと
企画書を見ていて一番多いのは、「面白さの説明」ではなく「設定の説明」で埋まっているものです。世界観も、キャラクターも、システムといろいろ書いてある。でも「で、これの何が楽しいの?」には答えられていない。逆に、一行で面白さが伝わる企画書は、それだけで最後まで読もうと思えます。飾りを足す前に、コア体験を宣言する。順番はそれだけです。
頭ひとつ抜ける実績の作り方
プランナー志望の就活生向けに、「どんなに小さくてもいいからゲームを作って見せたほうがいい」という記事やSNSの投稿をよく見かけます。間違いではないのですが、そのまま受け取るのは禁物です。
まず知っておいてほしいのは、作ったゲームはほとんどプレイしてもらえない、という現実です。書類選考の担当者は、大量の応募書類を限られた時間で見ています。数GBのファイルをダウンロードして、インストールして、遊んでもらえることはまずありません。ブラウザで遊べるものなら1〜2分触ってもらえることはありますが、それでも期待しすぎないほうがいいです。
結局、作ったゲームはポートフォリオという書類の上で、スクショや説明、コンテストの成績などと一緒に評価されることになります。しかも、ゲームを作った経験がある学生はもう珍しくありません。他の応募者の作品と並べて比べられたときに見た目で負けていると、かえって損をすることすらあります。
つまり、作っただけでは評価には届きません。「伝わる形にする」ところまでが制作です。
なので、作るなら範囲をぐっと小さく絞って、見た目の完成度を確保してください。そのうえで、次の流れで「作った過程」まで見せるのをオススメします。
- 作る前に、範囲・スケジュール・仕様を決める
- 仕様書を書いてから作り始める
- 遅れたら、何を削ってどう計画を引き直したかを記録する
- テストプレイを観察して、詰まったところを直し、もう一度遊んでもらう
- 30〜60秒のプレイ動画を用意する
- 完成したゲームと一緒に、「計画と実績のズレ」と「改修のビフォー・アフター」を1〜2ページにまとめて見せる
とはいえ、最初からこの通りに完璧にできる必要はありません。まずは作り始めてもいいです。
ただ、きっと「いきなり作り始めたら途中で挫折した」「面白いのか自分でもよくわからなくなった」という壁にぶつかると思います。
そこで「なるほど、ちゃんと準備してから作ったほうがいいのか」と気づければ、それだけでプロへの道を一歩進んだことになります。そして、そのつまずきとやり直しの経緯も、立派な「過程」としてポートフォリオに書けます。
大事なのは、書類を立派に揃えることではありません。どこでどう判断したかを見せることです。現場でもスケジュール通りに進むことはまずないので、ズレたときにどう立て直したかのほうがよっぽど評価されます。
ここまで見せられれば、「仕事としてゲームを作れる人」だと伝わります。過程まで見せてくる応募者はほとんどいないので、ゲームの出来そのもの以上に差がつくポイントです。
せっかく作ったゲームです。その努力を、ちゃんと採用担当者に届く形にしてあげてください。
これが、本当の意味での実績づくりです。
自作ゲームが難しいなら、企画書を作り込む
自作ゲームを作ることが難しい場合は、企画書を作り込みましょう。中途半端に両方やるより、ずっと勝算があります。
ただし、作り方を間違えないでください。どこかで拾ってきたフォーマットに流し込んだり、聞きかじったテクニックで体裁を整えたりしても、本質は出てきません。
やるべきは、自分の半生や経験とゲームを接続することです。
自分が何を食べ、何を聞き、何に喜び、何に驚き、何を悲しみ、何に怒り、どんな景色を見てきたのか。それを自己分析して、ゲームに接続し、着地させる。
音楽をやってきたなら、そこで得た体験を使う。絵を描いてきたなら、そのとき感じた気持ちを使う。ゲームはゲーム、それ以外はそれ以外、と分断しないこと。五感や感情や経験をゲームに接続する力こそが、プランナーの仕事そのものです。
そしてこれは、すでにあなたが持っているものです。言うなればセンス。企画書は、そのセンスを引き出して形にするための、ひとつの手段にすぎません。
先ほどの掃除の例も同じです。誰もが知っている日常の感覚を、ゲームに接続しただけ。特別な知識はひとつも使っていません。
そして、本質を射抜けているかどうかは、書いた本人にはいちばん見えません。だから人に見せる必要があります。
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学年別・いま何をすべきか

ここまで読んで、「で、自分は今どうすればいいのか」が知りたいはずです。当然ですが、学年ごとに、置かれている状況が違います。
1〜2年生:いちばん有利な位置にいる
正直に言うと、この時期にこの記事を読んでいる人が、いちばん「強い」です。
前の章で見たとおり、3年生の夏から就活は本格的に動き始めます。逆に言えば、1〜2年生の間は誰も焦っていない。この時期に手を動かしておけるかどうかで、3年生になったときの持ち駒がまったく変わります。
やることはシンプルです。
作る=小さく作って、小さな成功と失敗を積み上げる
小さくていいので、最後まで作り切る経験をしてください。本当になんでもいいです。ゲームはもちろん、シナリオでもいいですし、動画でもいい。今ならAIも使えます。完成させることに意味があります。そして、前の章で書いたとおり、いきなり作って途中で挫折してもいい。「準備してから作ったほうがいいのか」「計画や過程が重要なのか」と気づけたら、それ自体が収穫です。
書く=考えたゲームを形にしてみる
ゲームの企画書を書いてみてください。ゲームジャンルや規模はなんでもかまいません。そして、完成度は気にしなくていいです。「結局これ、何が面白いの?」に答えられるかを試す練習です。
見せる=作ったものを人に評価してもらう
恥ずかしい気持ちはわかりますが、作ったものを人に見せた時、クリエイターは成長します。「いいじゃん!」なのか、「よくわかんない」なのか。見せる相手は友達でもいいですが、できれば先生やプロの人に見てもらうのが一番いいです。
記録する=実績に合わせて体験ログを残す
これが意外と大事です。作ったもの、考えたこと、うまくいかなかったことを記録として残しておく。3年生になってポートフォリオをまとめるとき、記録がないと制作した当時の詳細を思い出すことが難しいからです。
この4つを意識して、2年生の終わりまでにいくつかでもできていれば、他者との差をつけるのにかなり役立ちます。
ただ、先ほど「作ったものをプロに見てもらう」と言いましたが、ゲーム業界のプロはあなたの身近にいますか?
大学のキャリアセンターは業界の中身までは分かりません。ゲーム開発を学べる大学なら現場出身の先生もいますが、多くの大学にはそうした相談相手がいません。友達に見せても「面白いんじゃない?」で終わります。就活で、企画書を見て「ここが弱い」と具体的に指摘してくれる人は、そう多くないのです。
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3年生:優先順位を決める
3年生は、時間がありません。これは焦らせるためではなく、事実です。
春にはインターンの募集が始まり、夏にはサマーインターン。秋冬には早期選考が動き出します。授業もゼミもある中で、すべてをやる時間はありません。だから、優先順位を決めることが大事なんです。
- 見せられるものを1つ作るエントリーの時点で作品が必要です。ゼロだと土俵に乗れません。ゲームでも企画書でも、形になっているものを1つ。インターンやワークショップの応募課題では、「今売れているゲームの改善提案を出して」とか、「○○をテーマにしたゲームを考えてみて」などがよくあるお題です。
- 大学で作ったものがあれば、棚卸しするゲーム制作を学べる大学なら、授業やゼミで企画書を書いたり、グループで制作したりした経験があるはずです。あれば、それが素材になります。新しく作るより早い。ただし、そのままでは使えません。「自分がどう関わり、何を考えたか」を語れる形にする必要があります。
一方、多くの大学では、ゲームに関わるものを作る機会はありません。その場合は、ゲーム以外の経験を棚卸ししてください。サークルでイベントを企画した、ゼミで研究テーマを立てて発表した、バイト先で何かを改善した。「自分で考えて、形にして、人に届けた」経験なら、素材になります。 - インターンに出すインターンの応募先はけっこうあります。企画を書いてプロに見てもらえる機会は、学内ではなかなか得られません。
逆に、後回しでいいものもあります。業界研究を細かくやること、エントリーシートの書き方を極めること。どちらも、見せられるものがあってから効いてくる話です。
4年生・就活がうまくいかなかったとき
早期選考の波に乗れなかった、あるいは受けたけれど通らなかった。この状況は珍しくありません。
まず、進路は複数あります。
既卒として応募する
卒業後も新卒枠や第二新卒枠で応募できます。第二新卒として見られるのは、卒業後2年くらいまでが目安です。3年経つと26歳。その3年を何に使ったかが問われます。
逆に言えば、その期間に別業界だとしても実務経験を積んでいれば、それを強みとして生かすことができます。新卒採用は、研修を経て実務に入るまで時間がかかります(大手ほどそうです)。そこを省略できる人材は、企業にとって価値があります。
その他の進路
- ゲーム業界の他職種や、周辺業界から入る
- いったん別の仕事に就き、転職でゲーム業界に入る
- 大学院に進んで、その期間を準備に充てる
どれを選ぶにしても、その期間にあなたが経験したことをどう生かすかが本題です。
半年あれば、前の章で書いた「頭ひとつ抜ける実績」が作れます。スケジュールを引き、仕様書を書いてから開発に入り、完成させて、遊んだ人の反応を分析する。これを通して出せたら、来年の選考では別人として見られます。
企画書でも同じです。前回出したものを見返して、「結局これ、何が面白いの?」に答えられているか確認してみてください。答えられていなければ、そこが落ちた理由かもしれません。
就活がうまくいかなかったことは、プランナーに向いていないという意味ではありません。準備が間に合わなかっただけ、ということがほとんどです。
監修者・藤井からひとこと
学生の方から「今だと、もう手遅れですか?」という相談をよく受けます。遅いかどうかは、残り時間ではなく、残り時間をどう使うかで決まります。半年あれば、見せられるものは作れる。逆に2年あっても、何もしなければ何も残りません。今の自分が何年生であれ、今から具体的に手を動かせるかどうかがすべてです。
まとめ
本コラムの要点を3つにまとめます。
- ゲーム業界の就活は、難しいのではなく時間軸が違う。政府のルールでは3年生の3月に情報解禁だが、実態は4月までに約7割が内々定を得ている。3月スタートの前提で準備すると出遅れる
- 自作ゲームと企画書は、どちらが上という話ではない。見られているのは「何が面白いのかを見抜いて、形にして、伝える力」。手段が変わっても、問われているものは同じ
- 本質とは「結局このゲーム、何が面白いの?」に答えられているか。設定や仕様はデコレーション。核を一行で言えるかどうかが分かれ目
企画書の具体的な書き方は 👉 ゲーム企画書の書き方 で、ポートフォリオのまとめ方は 👉 ゲームプランナーのポートフォリオの作り方 で詳しく解説しています。
「この企画書で合っているのか、誰にも聞けない」という方へ
就活で、具体的に相談できる相手はいますか?
キャリアセンターは業界の中身まで知りません。ゲーム開発を学べる大学なら現場出身の先生もいますが、多くの大学にはそうした相談相手がいません。就活仲間は同じ立場です。企画書を見て「ここをこう直すと通る」と言える人は、そう多くありません。
GPCの企画書制作コースでは、元KONAMIプランナーの藤井が、あなたの企画書を1対1で見ます。就活生の方も受講いただけます。他の就活生と差がつくのは、まさにこの部分です。
「このままで合っているのか」と迷ったら
まずは現在地を整理しませんか?
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出典
- 内閣官房「2027(令和9)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請」
- 就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議「2027年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方」(令和7年12月26日)
- 就職みらい研究所「2027年卒学生 就職内定率調査(2026年3月1日時点)」
- マイナビキャリアリサーチLab「2027年卒就職内定率(内々定率)の状況」
監修者・藤井からひとこと
監修者・藤井からひとこと